2022年11月、電力大手各社が電気料金の値上げ(規制料金の引き上げ)を続々申請しています。
そこで、各社の値上げ率をまとめます。
また、なぜ今こんなに値上げするのか、規制料金とはなにか、落ち着いたら値下げするのか解説します。
- 各社の値上げ率まとめ
- なぜ今こんなに値上げするのか
- 規制料金とはなにか
- 落ち着いたら値下げするのか
解説します。
電力各社の値上げ申請

電力各社は、2023年4月実施予定で、一般家庭向け規制料金の値上げ(引き上げ)を経済産業省へ申請しました。
各社の値上げ申請状況は下記の通りです。
- 東北電力:32.94%(11月24日発表)
- 中国電力:31.33%(11月25日発表)
- 四国電力:28.08%(11月28日発表)
- 沖縄電力:39.3%(11月28日発表)
- 北陸電力:45.84%(11月30日発表)
- 東京電力:29.31%(1月23日発表)
北陸電力が最大の値上げ率となっており、認められれば、1980年以来の値上げとなります。
各社が値上げに踏み切ったのは、オイルショック(1970年代)と福島原発事故(2013年頃)以来で、3回目です。
規制料金とは

規制料金とは、旧一般電気事業者である大手電力10社の提供するプランのことです。
反対に、自由料金とは、新電力が提供するプランのことです。
家庭向け規制料金については、「燃料費調整制度(燃調)」に基づいて電力会社が原燃料費を電気料金に転嫁しています。ただし、家庭向け規制料金は上限を超えて転嫁できない仕組みとなっています。
現状、規制料金は上限に達しており、超えている分については、電力各社が負担しています。そのため、電力各社は2023年3月業績は最終赤字を見込んでおり、異例の過去最大の赤字となる電力会社もあります。
規制料金の引き上げには、電気事業法に基づいて経済産業省に申請し、認可を受ける必要があります。
なぜこんなに値上げするのか?

現在、日本は原子力発電の割合が小さく、火力発電の中でも、特にLNG(液化天然ガス)に依存しています。(石油、石炭はCO2排出量が多く、LNGに移行している大きな時代の流れもある)
再生可能エネルギーは、水力を除いて、安定しないため、火力発電に依存せざる負えない現状であり、水力発電においては、すでに開発されつくしており、大幅な発電量アップは見込めません。
このような状況の中、下記のような事態が起こっています。
- ロシアが経済制裁対抗のため、欧州へのガスの供給停止→欧州のLNG需要拡大
- 中国がシンプルにLNG需要拡大
- 各所LNGプラントのトラブル頻発による供給量ダウン(2020年秋以降)
この事態により、LNG価格が今までにないくらい急騰しています(10倍以上)。
LNG急騰に加え、円安の影響もあり、発電コストは急騰しました。
そして、規制料金の上限に達してもなお回収できない負債は、現在、電力各社が背負っています。
そのため、今回、規制料金の引き上げ=値上げ申請を各社が実施したという現状です。
落ち着いたら、値下げするのか?

「今回、様々な要因により、LNG価格の急騰が起こっているが、下がったら、電気料金は下がるのか」が気になるところだと思います。
申請しているのは、規制料金の上限の引き上げであり、毎月の電気料金自体はその時々のかかったコストに応じて、決められます。
そのため、コストが下がれば(LNG価格が下がれば)、それに応じて、電気料金は下がります。
例えば、LNGよりも安い原子力発電の再稼働が始まっても、総合的に発電コストが下がるので、電気料金は下がります。
規制料金は廃止される?

規制料金は経過措置料金とも呼ばれ、いずれ廃止されることになります。
今、電力自由化の経過措置として、不当な価格上昇を保護するために設けられていますが、各社の競争において十分に活発化されたときには、電力大手各社も自由料金になり、自由に電気料金を設定できるようになります。
自由料金になれば、今の規制料金のような上限がなくなります。しかし、市場が十分に活発化されていれば、不当に高い料金設定にできないので、問題ありません。
最後に

電力各社の値上げ率、値上げの理由などわかりましたか?
様々なものも値上げが多い年となっておりますが、電気料金は一番かかせないものであり、各家庭で大打撃を受けることは間違いないでしょう。
電力会社も企業努力のうえ、どうしようもない範囲になってしまって申請している状況です。落ち着いて、電気料金が値下げされるのを、待ちましょう。